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Abstract 本章では、アラビア語と日本語における発言過程と心理過程を取り上げ分析した。 発言過程は事物・事象についての人の発言そのまま(locution)あるいは発言内容の 主旨Idea を伝える過程のことである。参与要素には発言者、受信者(Receiver)と 発言内容 がある。心理過程とは、事物・事象に対する知覚・感覚や感情や認知をと らえる過程のことである。心理過程は1)感覚・知覚の意味役割を担う心理過程、2) 感情の意味役割を担う心理過程、そして3)認知・認識の意味役割を担う。参与要 素として、感覚者(Senser)と現象(Phenomenon)が存在する。 まず1 では、ユースフ章における発言過程を二種類に分けて考察した。それは、 「قال 」の中核部によって実現される過程とその他の過程である。それぞれの過程を その日本語訳と対比しながら、アラビア語の過程構成と過程の意味役割を明らかに した。 「قال 」の発言過程は、1)評判する/批評する/噂として広がる、2)発言する=念頭 の思考を声に出して発言する、3)相手に話しかける、4)(グループと/で)話し合 う、5)質問/依頼に答える、6)頼む、の六つの意味役割を担う。 「قال 」以外には「نبأ 」、「أوحى 」、「أمر 」の発言過程が見られた。「نبأ 」の発言内 容は発言名称に限定される。過程構成において、具現上の受信者が存在するが実際 に話しが向けられるもの(Target)は存在しない場合、その過程が行為を表す物質 過程に近い意味役割を持つことを明らかにした。「أوحى 」の発言内容が発言名称の 場合、過程は行為者のすることを表す物質過程の意味役割に近い。発言内容が直接 話法または間接話法の場合、伝達を目的とする意味役割を果たすことを明らかにし た。「أمر 」による発言過程は、「命令の内容を伝える」という意味役割を担う。 次に2では、心理過程の例を2種類に分けて考察した。それは「 أرى (見る)」に よって実現される過程とその他の中核部による過程である。 2では、アラビア語と日本語における心理過程の分析を行った。まず、2.1 では、 「رأى :見る」の中核部によって実現される心理過程を検討し、次に、2.2 ではその 他の中核部による過程を考察した。 「رأى 」の心理過程は、現象の特徴の相違によって1)感覚の意味役割、2)認知の 意味役割という二つの意味があることが明らかになった。また、日本語の「夢を見 る」のような「N をV」の構造は対象-中核部の組み合わせを表すのではなく、中 核部に相当すると結論付けることができる。 また、不快な事情を表す現象はアラビア語の過程では能動態によって具現される が、日本語の場合、日本語の語彙文法選択体系網にある迷惑受身による具現が現れ 114 る。その受動態の選択は心理過程の感覚者が三人称の場合にも現れる。なぜなら、 日本語の語彙文法の選択体系網で、三人称の感覚や感情を表す許容度が極めて制限 されているからである。最後に、感覚者を何かを感じさせる要素の「誘導者」が存 在する過程には、アラビア語でも日本語でも中核部の使役を表す形態の変化が必要 となる。 |